体感予報 思い出話
『体感予報』の紙/電子版コミックスが発売されました。(シーモアさん以外の電子はまだです🙏)
すでにご購読いただいた皆々様、本当にありがとうございます!分厚いですね。242ページだそうです。本来一冊にするならもっとページ数絞って!と言われるところだと思います…笑 リブレさんごめんなさいありがとうございます🙏🥲
不定期連載だったため、折角単話で読んでくださってる方を半端なところで待たせるのもなぁ…と一話一話カタをつけるつもりで描いていたので、どうしてもページが多くなってしまっていたんですよね。そんな一話完結形式も3話目で破綻しましたけども…🙃その時にはスケジュールも安定していたのでご愛嬌!
第1話の配信が2020年の11月だったと記憶しております。FicusParty2ndという、コミックシーモアさんが主催するBL漫画作品朗読イベント第二弾のために描いた作品でした。
その時は通常の他社連載スケジュールの合間に1話をねじ込んだ形だったので(今振り返るとこんだけ遅筆マンなのによくもまあねじ込めたなぁと思う…)、2話以降を描こうにもそれらの連載を描き切る必要がありまして。確か10ヶ月くらい間が空いたんだったかな。変則的な作品でしたね。
ちなみにフィカパでは瀬ヶ崎を小野友樹さん、葉を山中真尋さん、万さんを寺島惇太さんに(笑)演じていただきました。(壇上に男性声優さんしかいらっしゃらないので、女性も演じなければならないという…)
そのお仕事ぶりに感動して、役者さんというお仕事や「朗読」「演じる」という行為に対してすごく感銘を受けた、とても貴重な体験でした。キャラクターを完全に理解して大切に演じていただけたような気がして、そこに彼らが存在しているみたいで、すんごい嬉しかった。
さて、体感予報のレーベルはFicusさんといいまして、こちらNTTソルマーレ…つまりコミックシーモアさんの母体である会社が作っている電子レーベルなんですね。この作品で1番大きかったのは、そのコミックシーモアさんから広告出稿していただいたことです。いろんなサイトやSNSに。初期はTwitterでも見かけました。
他社編集さんや友人から「広告見たよ!」とたくさん言われましたし、広告を見て読んだ、という方が大半なのではないかと思います。それくらいたくさん広告を出していただいていました。
自分としては、すごく運がよかったのだな…と感じていまして。たまたま、目に留まる形で、非常にキャッチーな煽りで広告を出していただけて、たまたま、作品テーマが地流に合っていて、たまたま、ターゲット層に見事届いたという、本当に幸運な作品だったと思います。
だって鯛野ニッケってそれまで10年くらい低空飛行してたんですよ。2センチずつくらいの上昇気流に少しずつ乗れて、そのわずかな成長を喜んで噛み締めて悔しがって10年やってきたんです。突然絵や漫画がばつぐんに上手くなったわけではないわけで、今作の反響は幸運に押し上げていただいたものだと肝に銘じております。今は竜巻のようなものに押し上げられて眩暈がしていますが、この後ふわりと元の場所に戻ったとしても、また少しずつ上昇気流を作れるように、漫画描きとして成長できるように、より気を引き締めて頭と手を動かしていかないといけないなと、思っているところです。体感予報の読者さんがたくさんいてくださることと、これから生み出す作品を楽しんでいただけるかどうかはまったく別ですから。
それでもたくさんのご購読、ご感想を賜りましたことは、あまりに夢のようで嬉しかったですし、また楽しんでいただける作品を作れるかもしれないという希望になりました。本当にありがとうございます。
ちなみに、私はずっと「過去の自分に勝たないといけない」と唱えながら漫画を描いています。それは読者数だったり画力だったり描いてる内容に対する個人的な満足感だったりいろんなポイントにおいての自分内大乱闘なんですけども。
本作に関しては読者数という点において「こんな強敵を生み出してしまったので今後負け戦を続けることになり、メンタルが持つ気がしない」と嘆いております。体感予報は己から生み出されたモンスターです。こわい。
ちなみにセクはず発売後も「今後これと戦わないといけないんですか?」、体感予報1話が出た後も「反響こわい、こんなの超えられるわけない、続話描きたくない」って言ってました。いつも同じこと言ってる。
本音を言うと、今回リブレさんからとんでもない初版部数を提示していただいた時も(余ると思って恥ずかしくてひとり泣いていた)、発売後すぐにあまりに大きな重版のお知らせをいただいた時も(ちょっと大きく出すぎじゃないかと心配してる)、「何が起こってるのかよくわからない」という感じでした。他人事のようです。できるだけ「やった!」「うれしい!」と声に出すようにして、もちろんちゃんと喜んでいるけど、まるで自分の手柄に思えていません。自分が必死で描いたはずなのに、よその作品みたいな体感予報。不思議です。
ちゃんと、この作品が自分の力になっていると誇れるかどうかは、これからの自分にかかっているんだろうと思います。
たくさん練習して、たくさん吸収して考えて、まだ成長できると信じて取り組んでいこうと思います。伸びしろしかないので。
これからも健康を害さない程度に思い悩みながら、くそまじめに漫画を描こうと思います。
あとがきというには少々物語の外側の内容でしたので、思い出話と題させていただきました。
こんなこと読者さんに話してどうするつもりなのかしらとも思うのですけど、書くなら今しかないかなって。お見苦しかったら粛々と消します。
すぐに一般受けしない方向に迷走する私の手綱を握ってくださっていたソルマーレ編集さん(でもお小水はまだ描き足りません、なんとかなりませんか?なりませんか…)
何から何まで仕事ができるとしか言いようがないリブレ担当者さん(こういう社会人になりたい…ステークホルダーが多い作品の扱い、本当に面倒だったと思います大感謝!!)
デザイナーさんや営業さん、きっと私の預かり知らぬところでも各社たくさん稼動してくださった方がいらっしゃったのだろうと思います。
改めまして、本当にありがとうございました!
漫画描きまーす!
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書き終わった後に思い出したおまけの話
今年の春ごろ、鎌倉旅行した時に、漫画を描かぬ友人たちにお願いして荏柄天神社に行きました。
絵筆塚という、漫画界の著名人たちが描いた河童のイラストが刻まれたオブジェがある神社で、漫画の聖地です。この塚を見るだけですごく楽しいのでおすすめ。
私は神社に行く時はいつも、お願い事よりも誓いを立てるようにしています。
「〇〇を叶えるために〇〇します」みたいな。
その時は、「初版部数X部を目指してがんばります」って誓ってきました。私からしたらかなり途方もなく、初動で刷る部数の営業判断としては生きてる間に叶うかもわからない部数だな、と、でもこれくらい大きく目指して動かないと次のステップにはいけないな、という気持ちで誓った数字でした。
それがね、今回最終的に体感予報の初版部数として提示された数でした。厳密に言うともうちょっと多く刷ってもらったんですが。
事前の予約などを加味して、たくさん刷っていただけたんだそうです。(ご予約くださった方ありがとうございました😭)
いやー、なんかちょっとスピリチュアル感じてしまいましたよね。というエピソードです。
まー前述の通りちょっと体感予報はイレギュラーすぎる作品なので、その部数はあらためて今後の作品で目指しなおしていこうかな…自力でね!
私には何でもかんでもなにもかも話してしまう中学からの友人がいるのですが、彼女に最近仕事上起きたアレコレを話していたら、「お礼参りいかないと。ちょっと効きすぎてこわいですって言いに行かなきゃ」って返されて笑っちゃいました。
そうですね、ご利益というにはちょっといただきすぎです。ちょっくら鎌倉行かないとな。道真公、漫画の神々、ありがとうございました。
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